Letter 生化学:AMPキナーゼは視床下部のホルモンと栄養シグナルに応答して摂食を制御する 2004年4月1日 Nature 428, 6982 doi: 10.1038/nature02440 肥満は西洋社会で蔓延している状態であり、II型糖尿病および心臓血管疾患の発症率を急速に引き上げる因子となっている。進化的に保存されたセリン/トレオニンキナーゼであるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)は、細胞のエネルギー状態を監視する「燃料計」として機能している。我々は、視床下部で摂食調節に関与していると思われるAMPKの役割について研究を行なった。今回、AMPK活性が視床下部弓状核および室傍核(PVH)では食欲不振誘発性ホルモンであるレプチンにより抑制され、視床下部の多くの部位ではインスリン、高グルコースおよび再摂食により抑制されることを報告する。メラノコルチン受容体アゴニストは強力な食欲抑制物質であり、PVHにおけるAMPK活性を低下させるが、これに対し、食欲促進物質であるアグーチ関連タンパク質はAMPK活性を上昇させる。PVHにおいてレプチンと再摂食がAMPKに作用するためには、メラノコルチン受容体によるシグナル伝達が必要である。視床下部でのドミナントネガティブ型AMPKの発現は摂食抑制と体重減少を引き起こすのに十分であるが、構成的に活性なAMPKは摂食量、体重を増加させる。視床下部におけるAMPK活性の変化は、絶食と摂食により誘発される弓状核の神経ペプチド発現の変化を増大させる。さらに、レプチンの摂食と体重に対する作用には視床下部のAMPKの抑制が必要であるが、これは構成的に活性なAMPKがこれらの作用を阻害するからである。したがって、視床下部のAMPKは、ホルモンおよび栄養に由来する食欲抑制と促進のシグナルと、エネルギー平衡において重要な役割を担っている。 Full Text PDF 目次へ戻る