Letter

発生:キイロショウジョウバエ卵巣で分化中の生殖細胞は機能を持った幹細胞に逆戻りできる

Nature 428, 6982 doi: 10.1038/nature02436

血液や表皮、消化管、生殖細胞などの多くの組織は、それぞれの組織の幹細胞によって細胞が継続的に補充されている。しかしある特定の条件下では、これら以外の器官でも細胞の脱分化により幹細胞に類似した前駆細胞を作り出し、これを使って修復を行うことができる。細胞運命の幅を実験的に拡張した例が報告されているが、幹細胞状態へと脱分化させる機構はほとんどわかっていない。生殖系列幹細胞は互いに連結した生殖細胞嚢胞 (シストサイト) の形成によって分化を開始し、特定の条件下ではマウスのオスのシストサイトは機能を持った幹細胞に戻ることがあると考えられてきた。本論文では、ショウジョウバエDrosophilaの二齢幼虫卵巣や、BMP4 様の幹細胞シグナルDecapentaplegicを過剰形成している成虫で作られる4細胞や8細胞のシストサイトが、効率よく単一幹様細胞に変換することを示す。これらの脱分化した細胞は発生を続けて、機能を持った生殖系列幹細胞を作り、正常な妊性をもたらすことができる。今回の結果は、遺伝毒性物質や放射線、正常な老化などで生殖細胞が涸渇した後、それらを補充する可能性のある再生前駆体の比較的豊富な供給源にシストサイトがなることを示している。またもっと一般的には、ショウジョウバエのシストサイトは脱分化の機構と、機能をもった幹細胞の供給源としての可能性を研究する実験系となるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度