Letter

生理:1個の細菌における分子ノイズと行動の可変性

Nature 428, 6982 doi: 10.1038/nature02404

大腸菌の運動を制御する走化性ネットワークはシグナル伝達の全般的理解を得るために長年にわたって研究されてきた。この経路は、ほんの数種類の成分で構成されているが、適応や環境シグナルに対する反応などの生物学的複雑性の本質的な特徴をいくつか示す。細胞内ネットワークの研究における多くの実験および数学的モデルでは、ネットワークの特性が集団全体の測定から推定可能であると仮定されてきた。しかしこのような方法では、細胞内シグナル伝達に潜む時間的揺らぎが隠されてしまう。今回、走化性ネットワークの基本的な性質を、個々の細菌の行動の変動を調べるノイズ解析から推定した。本論文では、集団を測定することで決定される適応状態などの特性が、細胞1個のレベルでは保存されていないことを報告する。数秒から数分の時間スケールでは、刺激を受けていない細胞の行動が、期待される統計的な揺らぎと比較してかなり大きな時間的可変性を示す。我々はシグナル伝達ネットワークそのものがノイズ発生源であることを見出し、ノイズ発生の分子機序を明らかにする。一つの重要なネットワーク構成要素のわずかな濃度変化が行動の時間的可変性を抑制することから、このような可変性がこの適応系における選択された特性の一つであることがわかる。

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