Article

神経:マウスの嗅覚ニューロンからの核移植によって匂い物質受容体遺伝子の選択がリセットされる

Nature 428, 6981 doi: 10.1038/nature02433

マウスゲノムには約1,000個の匂い物質受容体(OR)遺伝子があるが、1個の嗅覚ニューロン(OSN)では、そのうち1個の対立遺伝子だけが発現されていると考えられている。これは、免疫グロブリン遺伝子やT細胞受容体遺伝子の場合に似ており、これらの遺伝子はリンパ球でのDNA再編成を経てから発現される。本論文では、OR遺伝子の選択はOSNにおけるDNA再編成によって制御されているという仮説を検証する。永久的に遺伝子を標識する方法を用いて、OR遺伝子の対立遺伝子の1つM71を発現するというOSNの選択が不可逆的であることがわかった。このM71を発現しているOSNを核移植のドナーにして胚盤胞、胚性幹(ntES)細胞系、さらにクローンマウスを作成した。これらの細胞系のゲノムはM71発現OSNに由来するクローンで、DNA解析ではDNAの再編成やM71遺伝子座における配列の変更は見られない。胚盤胞に注入したntES細胞から分化したOSNでは、M71に限らず、他のOR遺伝子も発現可能である。従って、M71遺伝子の選択は不可逆だが、核移植後にはリセットされ、ゲノムの変化は伴わない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度