Letter 視覚:低次視覚野における錯視関連皮質活動の可視化 2004年3月25日 Nature 428, 6981 doi: 10.1038/nature02396 大脳皮質の情報処理の基本原理を解明するのに、錯視の研究が役立つ。ほぼ1世紀前、ゲシュタルト心理学者たちによって、動かない刺激を動いているように感じる錯視が報告されている。しかし、その基盤となるニューロン機構は解明されていない。この「動く線」の錯視を起こす皮質機構を解明するため、閾値下の神経活動に対しても高感度なリアルタイムの光学画像化法を利用し、5種の刺激に対する反応を、麻酔したネコの視覚野で調べた。5種とは、静止した小四角形、静止した長い線分、動く四角形、長くなる線分、そして周知の「動く線」の錯視(静止した線分の直前に静止した四角形を提示)、である。線分だけを瞬間的に提示した場合、予想された局所的な短潜時で大振幅の活動パターンが見られたが、線分提示の60〜100ミリ秒前に四角形を提示すると、速い動きの提示時と似たダイナミックな活動パターンが現れた。この先行四角形は、物理的には動いていないが、次第に伝播する閾値下の皮質活動を引き起こした。この活動が動きの錯視に寄与していることは、実際に動く線分を提示したときに、同じ皮質領域で現れる活動と区別できないことからわかる。これらの知見は、閾値下のシナプス電位の時空間的パターンが、皮質情報処理や認識の形成に影響を与えることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る