Letter

進化:ミオシン遺伝子の変異はヒト系統の解剖学的変化と相関する

Nature 428, 6981 doi: 10.1038/nature02358

チンパンジーやゴリラなど大部分の霊長類には強力な咀嚼筋が見られ、アウストラロピテクスやパラントロプスといったヒト科の絶滅した属に見られる顕著な適応の一部でもあった。対照的に、ヒト属(Homo)では現生種と化石種のどちらも咀嚼筋はかなり小さい。進化途上にあるヒト科の咀嚼装置は中新世後期のチンパンジー様の形態にまでさかのぼることができ、咀嚼筋は初期のヒト属において大脳化が加速するのとほぼ同時に「きゃしゃ型」に転向した。本論文では、これらの筋で主に発現されるミオシン重鎖をコードする遺伝子(MYH)が、ヒトへの系統とチンパンジーへの系統が分かれたあとに、フレームシフト変異によって不活性化されたことを示す。このタンパク質のイソ型の減少が、個々の筋繊維および咀嚼筋全体の顕著なサイズ減少と関連づけられる。我々は、分子時計としてミオシンのロッドドメインのコード配列を使い、問題の変異が現れたのはおよそ240万年前にあたると算定した。この年代は、現生人類と同じ体サイズが現れた年代やヒト属がアフリカから各地に分散・移住した年代よりも古い。今回の成果は、ヒトとチンパンジーのプロテオーム上の違いが、化石記録で追跡可能な解剖学上の痕跡と相関させられることを初めて示したものだ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度