Letter 生態:アリで見られる過密条件下での最適な交通流の組織化 2004年3月4日 Nature 428, 6978 doi: 10.1038/nature02345 効率のよい輸送機構は非線形科学分野でホットな話題の1つであり、現代社会や生物種の生存に大きくかかわっている。生物の進化により成功に結びつく多様な解決法が生み出され、これらの解決法はエンジニアが最適な人工システムを設計する際の着想の源となってきた。たとえば採餌行動中のアリは誘引物質の道しるべを残して、当初知られていない餌場をほぼ最小限の時間で利用できるようにする。だがこの戦略は、個体間相互作用が交通流の減速を起こして全体の流量を減少させるボトルネック状態にうまく対処できるのだろうか。今回我々は、2通りの通路に遭遇したアリの実験研究を報告する。アリが低密度状態だとフェロモンによる誘引作用で道が1本できるが、高密度になると交通量が影響を受ける前にもう1つの道が確立され、これにより餌を持ち帰る率が最適に維持される。この分岐現象は、非線形モデル化の手法で説明できる。意外なことに、その基盤となる機構は抑制性の個体間相互作用に基づいたものである。この機構は、輸送量に余裕を持たせ、密度による減速を抑え、そして道をたどるのに十分なフェロモン濃度を確保することを狙うものだ。凝集させる力と分散させる力とを釣り合わせるこの仕組みは、自然界や都市、輸送といった各種の系に一般的なものとみられる。 Full Text PDF 目次へ戻る