Letter 医学:SOS反応は抗生物質耐性遺伝子の水平伝播を促進する 2004年1月1日 Nature 427, 6969 doi: 10.1038/nature02241 可動性遺伝因子は、微生物集団間で抗生物質耐性遺伝子を伝播するのに重要な役割を持つ。微生物集団間で抗生物質耐性遺伝子の接合伝達を調節する環境因子や遺伝因子については、ほとんどわかっていない。組み込み型接合因子(integrating conjugative elements, ICE)はさまざまな形をとる可動因子のひとつであり、このような因子は細胞どうしの接触によって伝達され、新しい宿主の染色体に組み込まれる。SXTは、コレラ菌(Vibrio cholerae)由来の100キロベース以下のICEで、クロラムフェニコールやスルファメトキサゾール、トリメトプリム、ストレプトマイシンに対する耐性獲得に関与する遺伝子をコードしている。SXTに近縁の因子は、1993年以前はコレラ菌中で検出されることはなかったが、現在ではアジア圏で臨床的に単離されるコレラ菌株のほとんどに存在している。SXT近縁のICEは、他の数種の微生物にも存在し、さまざまな抗生物質耐性遺伝子や重金属耐性遺伝子をコードしている。今回、SXTにコードされているリプレッサーであるSetRが、SXT伝達アクチベーターの発現を抑制することを明らかにする。DNA損傷に対する「SOS反応」はこの抑制作用を緩和し、SXT伝達に必要な遺伝子の発現を増大させ、伝達頻度を高める。SOS反応は、各種の環境因子やシプロフロキサシンのような抗生物質によって誘導される。我々はシプロフロキサシンがSXT伝達を誘導することも明らかにし、このように治療薬が抗生物質耐性遺伝子の伝播を促進する機構について論じている。 Full Text PDF 目次へ戻る