Letter 神経:成体神経幹細胞におけるオーファン核内受容体TLXの発現と機能 2004年1月1日 Nature 427, 6969 doi: 10.1038/nature02211 成体脳でニューロン新生が起こることがわかり、それが成体神経幹細胞の発見に結びついた。TLXはもともと脊椎動物の前脳で発現されているオーファン核内受容体として同定されたが、成体脳においても盛んに発現されている。TLX遺伝子欠損マウスは、胚発生の際には脳に目立った欠陥は認められないとの報告があるが、成体では、網膜症や辺縁系の重症欠陥、攻撃性、交尾頻度の減少、進行性の粗暴行動が見られる。今回我々は、TLXが成体神経幹細胞を、未分化で増殖する状態に維持することを報告する。成体の脳から蛍光細胞分析分離装置(FACS)を用いて単離したTLXを発現する細胞は、in vitroでの増殖と自己複製が可能で、あらゆる種類の神経系細胞へと分化できる。これに対して成体変異体の脳から単離したTLX欠損細胞は増殖ができない。FACSで単離したTLX欠損細胞にTLXを再発現させると、増殖、自己複製能が回復する。in vivoで調べると、TLX変異マウスでは成体脳において通常ニューロン新生が生じる領域での細胞増殖が見られず、またネスチン標識される細胞が減少している。 TLXが、神経幹細胞においてグリア特異的アストロサイトマーカーGFAPの発現を抑制できることから、神経幹細胞の未分化状態を保つためには、転写抑制が不可欠らしいことがわかる。 Full Text PDF 目次へ戻る