Letter 物理:歪んだ半導体における磁場を使わないコヒーレントなスピン操作 2004年1月1日 Nature 427, 6969 doi: 10.1038/nature02202 相対論から自然に出る結果の一つは電場が存在すると1個の電子のスピン状態と運動量状態が結合できることである。これはスピン‐軌道結合として知られている。このような相互作用によって、磁場をかけなくても非磁性半導体内部の電子スピンを操作する道が開ける。この相互作用はスピンを利用した量子情報処理やスピントロニクスに密接な関係があり、様々なデバイスを設計する基礎となる。例えば、スピン電界効果トランジスタの概念はスピン‐軌道結合が原因となって生じるスピン歳差に基づいている。しかし、大部分の研究は量子構造の非スピン選択的な電気測定を中心に行われている。本論文では、かけた電場に応答して電子がドリフトするとき、零磁場中のコヒーレントな電子スピン歳差を直接測定した結果を報告する。超高速の光学的な方法を使い、ガリウムヒ素とインジウムガリウムヒ素の歪んだエピタキシャル層におけるスピンダイナミクスを時間と空間で分解して測定した。予想に反し、このような単純な構造でも半導体薄膜の歪みから生じるスピン分裂が観測された。観測した効果から、歪みエンジニアリングを使って、電子スピンを電気制御する柔軟性のある方法が得られる。さらに、歪みに誘起された磁場を利用して、ラビ周波数が最高で約30MHzに達するスピン共鳴を電気的に起こすことができた。 Full Text PDF 目次へ戻る