非致命的武器として使用される神経刺激剤などの薬剤については、より広範な生命科学者が積極的に議論すべきで、それが使用の制限につながるかもしれない。
p.933
doi: 10.1038/460933b
Volume 460 Number 7258
今週のハイライト
Cover Story: バージェス頁岩という世紀の大発見：情報に富む頁岩層の発掘
進化: 細菌融合の名残
物理: アト秒の世界を見る
細胞: 小胞体でのAtlastinの役割
細胞: 遺伝的リスクを最小に
宇宙: LIGOで得られた背景重力波の上限
地球: インドの失われた水
医学: パンデミックを起こしたウイルスの特徴
植物: SNORKELで雨季に打ち勝つ
目次
Editorials
ヒト組織提供者の同意に付された制限のために、研究で得られた細胞株の配布に支障が生じた。標準同意書の制定など各種対策を講じて、事態の再発を防ぐべきである。
p.933
doi: 10.1038/460933a
News
熱帯雨林保全のためにブラジル政府が設立した、「アマゾン基金」によるプロジェクト第一弾と今後の展望。
p.936
doi: 10.1038/460936a
ナノ粒子によるヒトの健康被害に関する初めての研究報告があったが、研究者の間でさまざまな評価が。
p.937
doi: 10.1038/460937a
日本の衆議院議員選挙を前に民主党が掲げる科学技術政策のマニフェストと、科学界や与党の反応。
p.938
doi: 10.1038/460938a
米国立衛生研究所（NIH）のコリンズ新所長が就任初日に5つの重点領域を示したが、このほかにも最優先課題が。
p.939
doi: 10.1038/460939a
海洋研究船でのエアガンを使った地震実験が、海洋生物に対する影響の指摘を受けて延期に。
p.939
doi: 10.1038/460939b
SPECIAL REPORT 次に個別化医療の進展が期待されているのが心血管疾患だが、前途には問題が山積している。
p.940
doi: 10.1038/460940a
NEWS IN BRIEF
p.943
doi: 10.1038/460943a
News Features
生物多様性：実験と野外観察の間
p.944
生物多様性が生態系に与える影響を調べる研究で、研究者は、実験と野外観察の結果に生じるギャップを埋めるために、数々の努力を積み重ねてきた。doi: 10.1038/460944a
マウス遺伝学：遺伝子操作マウスの検査専門病院
The check-up p.947
ここでは、広範かつ詳細な表現型解析が実施され、細胞過程や疾患における個別遺伝子の役割に関する検証可能な仮説が次々と生み出されている。doi: 10.1038/460947a
News & Views
植物科学：背の高いイネの遺伝学
Genetics of high-rise rice p.959
深水イネあるいは浮イネは、洪水に遭っても茎を伸ばすことで生き延びる。このような浸水に対する応答の遺伝的背景がわかれば、コメ生産量を増大させる助けとなるだろう。doi: 10.1038/460959a
化学物理学：電子の動きを見るムービー
p.960
強力なレーザー光は分子から電子を引きはがし、電子波動関数に正孔を残して、これが分子内を駆けめぐる。こうした正孔の極めて速い動きが、ついにとらえられた。doi: 10.1038/460960a
神経科学：局所的な活動
p.961
神経活動は、神経回路の発生にどのように影響するのだろうか。網膜を使った研究により、ニューロン間のシナプス活動を阻害すると、局所的なシナプス構造の数が減少するが、全体的な細胞構造には影響がないことがわかった。doi: 10.1038/460961a
惑星科学：小惑星帯の考古学
p.963
太陽系の主小惑星帯中の小惑星のサイズは、惑星形成において最も解明が進んでいない問題の1つ、つまり、小石くらいの塵のボールが山にも匹敵する大きさの微惑星になる仕組みという問題をしぼり込むのに役立つ可能性がある。doi: 10.1038/460963a
宇宙物理学：重力波を追いかける
p.964
重力波の発見はアインシュタインの重力理論を裏付けるだけでなく、誕生直後の宇宙のさまざまな性質を明らかにすることになるだろう。このような捕らえにくい波の探索が、現在行われつつある。doi: 10.1038/460964a
Articles
計測：分子における多電子動力学の高次高調波干渉法による解析
High harmonic interferometry of multi-electron dynamics in molecules p.972
doi: 10.1038/nature08253
細胞：小胞体膜の同型融合にはダイナミン類似のGTPアーゼであるAtlastinが必要である
Homotypic fusion of ER membranes requires the dynamin-like GTPase Atlastin p.978
doi: 10.1038/nature08280
細胞：重複を介したゲノム再編成を防ぐ特異的経路
Specific pathways prevent duplication-mediated genome rearrangements p.984
doi: 10.1038/nature08217
Letters
宇宙：宇宙論的な起源をもつ背景重力波の上限
An upper limit on the stochastic gravitational-wave background of cosmological origin p.990
doi: 10.1038/nature08278
物性：極低温原子気体における非圧縮性モット絶縁ドメインのin situ観測
In situ observation of incompressible Mott-insulating domains in ultracold atomic gases p.995
doi: 10.1038/nature08244
地球：インドにおける地下水枯渇の衛星による推定
Satellite-based estimates of groundwater depletion in India p.999
doi: 10.1038/nature08238
地球：遷移層の含水量変化に対する全球電磁誘導による拘束条件
Global electromagnetic induction constraints on transition-zone water content variations p.1003
doi: 10.1038/nature08257
生態：位相同期と環境のゆらぎが捕食者–被食者群集に同期性をもたらす
Phase-locking and environmental fluctuations generate synchrony in a predator–prey community p.1007
doi: 10.1038/nature08208
遺伝：詳細に注釈付けされた韓国人の個人全ゲノム配列
A highly annotated whole-genome sequence of a Korean individual p.1011
doi: 10.1038/nature08211
神経：神経伝達はin vivo平行的回路中でのシナプス形成を選択的に調節する
Neurotransmission selectively regulates synapse formation in parallel circuits in vivo p.1016
doi: 10.1038/nature08236
医学：ブタを起源とする新型H1N1インフルエンザウイルスのin vitroおよびin vivoでの特徴の解明
In vitro and in vivo characterization of new swine-origin H1N1 influenza virus p.1021
doi: 10.1038/nature08260
植物：エチレン応答因子SNORKEL1およびSNORKEL2がイネを深水に適応させる
The ethylene response factors SNORKEL1 and SNORKEL2 allow rice to adapt to deep water p.1026
doi: 10.1038/nature08258
細胞：Arp2/3複合体の2種類の小分子阻害剤の性質
Characterization of two classes of small molecule inhibitors of Arp2/3 complex p.1031
doi: 10.1038/nature08231
細胞：XIAPはFAS誘導性アポトーシスのI型とII型を識別する
XIAP discriminates between type I and type II FAS-induced apoptosis p.1035
doi: 10.1038/nature08229
生化学：原核生物の仮想プロトンポンプの3.2 Å分解能での構造
Structure of a prokaryotic virtual proton pump at 3.2 Å resolution p.1040
doi: 10.1038/nature08201
Review Article
進化：初期の原核生物の細胞内共生を示す証拠
Evidence for an early prokaryotic endosymbiosis p.967
doi: 10.1038/nature08183
