Letter 生態:位相同期と環境のゆらぎが捕食者–被食者群集に同期性をもたらす 2009年8月20日 Nature 460, 7258 doi: 10.1038/nature08208 系の状態で空間的に同期するゆらぎは、1個の原子から、ウイルスや昆虫から哺乳類のような多様な生物種に至るまで、物理系や生体系で広くみられる。多くの同期現象では、それを引き起こす要因はよくわかっているものの、いくつかの過程は同時にある生物種の空間的同期性に影響を与えるため、それらの個別の効果とそれぞれの相互作用を定量化することは困難である。今回我々は、捕食者–被食者の空間動態に関する一般確率モデルを開発し、同期を誘発する既知のすべての要因間の相互作用を検証するマイクロコズム実験の結果を予測した。既知の要因とは、(1) 個体群間での個体の分散、(2) 外因性環境要因における空間的に同期したゆらぎ(モラン効果)、(3) それ自身が空間的に同期する他種(例えば捕食者)との相互作用、である。繊毛虫Tetrahymena pyriformisの個体群はモラン効果により同期したが、その捕食者である繊毛虫Euplotes patellaが存在する条件での被食者個体群は分散のみで同期した。モデルとデータの両方が、同期性は捕食者によりもたらされる周期的動態に左右されることを示している。モラン効果ではなく分散が周期を「位相同期」させるのであり、分散がなければ、周期は「脱同期」となって位相がばらばらになる。周期が存在しないと位相同期は不可能であり、分散の同期化効果は無視できるほど小さくなる。種間相互作用は個体群の同期性を規定するが、それは、同期したゆらぎの別の供給源となるのではなく、個体群動態を変化させ、それにより分散の作用を増強させることによる。我々の結果は、自然界のさまざまな捕食者–被食者系や宿主–病原体系を代表するモデルパラメーターにみられる幅広い変動に対してロバストである。これは、自然界にみられる空間的同期性の極めて顕著な事例の多くが、周期的な系によってもたらされることの説明となる。 Full Text PDF 目次へ戻る