Letter

地球:遷移層の含水量変化に対する全球電磁誘導による拘束条件

Nature 460, 7258 doi: 10.1038/nature08257

水の存在は、たとえ少量でも、固相線を下げたり、実効粘性率と地震波速度を低下させたりするなど、マントル物質の物理的性質にかなりの影響を及ぼすことがある。したがって、マントル内の水の量と分布は、地球の力学的および地球化学的進化に多大な影響をもたらす。電気伝導度もマントル鉱物中の水素の存在に極めて敏感である。特にマントル遷移層鉱物であるワズレアイトとリングウッダイトは水への溶解度が高く、最近の高圧実験では、これらの鉱物の電気伝導度が含水量に非常に敏感であることが示されている。したがって、電磁誘導により得られたマントル遷移層の電気伝導度の見積もりから、その領域の含水量をしぼり込める可能性がある。本論文では、長周期地磁気応答関数の逆問題を解き、地球マントルの全球規模の三次元電気伝導度分布モデルを求めて、遷移層の電気伝導度がほぼ1桁変動することを明らかにした。電気伝導度は、スラブが遷移層へ沈み込むかあるいは突き抜けていて、温度が低く地震波速度が速い地域で高い。遷移層全体で含水量にかなりの変動があることは、観測されたパターンに妥当な説明を与える。少なくとも遷移層の水の一部は、沈み込む低温のスラブによりその領域に運ばれたという考えを、この結果は裏付けている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度