Nature ハイライト
Cover Story:「香気」なる女王:においの放出がハダカデバネズミの女王による繁殖の独占を助ける
Nature 656, 8127
Felix Petermann, Max Delbrück Center
ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber、表紙写真)は、アフリカの角地域に固有の齧歯類である。ハダカデバネズミは地下に大規模なコロニーを形成し、繁殖する女王は1個体しかいない。この女王が、社会性のアリやハチにより近い階級制の社会システムを支配している。しかし、この階級制がどのように維持されるのかは、長い間謎だった。今週号ではM KhallafとG Lewinたちが、何がハダカデバネズミの女王をその王座にとどめているのかを調べている。著者たちは、女王が産生し、コロニー内で繁殖における階級制を調節する化学シグナルを特定した。それは、化粧品に広く使われている成分であるミリスチン酸イソプロピルであり、女王はこの化合物を放出することで、他の雌の繁殖を抑制していた。重要なことに、繁殖女王を取り除いた後のコロニーへミリスチン酸イソプロピルを人為的に添加すると、上位の雌は平静を保ち、女王の座を巡って争わなくなり、結果として、コロニーは女王不在の状態が続くようになった。ところがミリスチン酸イソプロピルの添加をやめると、たちまち激しい競争を通じて新たな女王が出現した。研究チームは、単一のにおいを使って繁殖を抑制することは哺乳類では極めて異例であり、ハダカデバネズミの社会システムが社会性昆虫のものと関連すると指摘している。
2026年8月13日号の Nature ハイライト
天文学:初期宇宙でガスに覆われた赤いブラックホール
天文学:らせん星雲で捉えられた22例の弧状衝撃波
光物理学:フォトニック時間結晶の全光学的な実現
超伝導エレクトロニクス:安定な大面積超伝導単層膜の成膜法
ペロブスカイト太陽電池:自己組織化分子の電着による効率向上
電池:インターカレーション時における相転移現象に似た段階的変化
電極触媒:酸性条件での酸素発生反応向けの三方晶相コバルト酸化物
高分子:ポリ塩化ビニルをポリアルファオレフィンに変換
生態学:複雑な食物網が生態系機能を強化する
進化学:真核生物はさまざまな微生物が関与して誕生した
がん遺伝学:特定のがんではセントロメアがテロメア維持に関与
認知神経科学:ヒト言語を担うニューロンの基本単位
発生生物学:ヒトの造血は原腸形成前に始まる
微生物学:内部共生者が宿主細胞内に定着する機構
代謝:食餌由来コレステロールによるLDLR調節の新たな経路
植物科学:低温ストレスへの応答と窒素利用効率を改善するイネ遺伝子
分子生物学:クロマチンループが複製フォークを守る
分子生物学:代替翻訳が組織特異的なタンパク質を生み出す
構造生物学:先天性筋無力症の受容体異常を補正する

