Nature ハイライト

Cover Story:ホログラフィックワームホール:量子コンピューターを用いた量子重力の研究へ一歩前進

Nature 612, 7938

一般相対性理論と量子力学が基本的に両立し難いために生まれる難題の1つに、量子重力理論に関する意見の不一致がある。これを克服できる可能性のある方法の1つが、重力を含む系はより低次元の量子系によって記述できると主張するホログラフィック原理を通した方法である。今回M Spiropuluたちは、キュービットを9つ用いた量子コンピューターで対応する量子ダイナミクスを実験的に実現することによって、通過可能なホログラフィックワームホールのダイナミクスを再現している。これは、量子重力理論を実験室で研究するための初めの一歩である。著者たちは、同じ量子チップにおいて2つのエンタングルした量子系を生成し、そのうちの1つにキュービットを挿入して、もう1つの系から現れた情報を観測した。この情報は、通過可能なワームホールに予想される重力の性質を示していたのである。

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