触媒反応:空間的閉じ込めの調整に基づく、ゼオライト触媒によるオレフィンのカルボニル化
Nature 658, 8138 doi: 10.1038/s41586-026-11183-2
カルボニル化は、アルデヒド、カルボン酸、エステルの製造に用いられる重要なプロセスで、通常は配位子を持つ均一系金属錯体とヨウ化物助触媒(促進剤)によって触媒される。コッホは、無機酸のプロトンも、カルボニル化を触媒できることを報告した。以前の研究で、ブレンステッド酸性ゼオライトが、アルコールやオレフィンのカルボニル化に対する不均一系コッホ型触媒として機能することが実証されているが、この場合の生成物は第三級カルボン酸に限られている。今回我々は、ゼオライト内の空間的閉じ込めの狙いを定めた使用を、高いCO/オレフィン比と組み合わせることが、この制限の打破に寄与し得ることを示す。我々は、FER型ゼオライトを用い、CO/オレフィン比を360とすると、オレフィンのカルボニル化によって、第一級カルボン酸および第二級カルボン酸を主生成物として生成可能であることを報告する。エチレンからプロパン酸(PA)へのカルボニル化は、100時間にわたって80%の選択率で達成され、プロピレンからイソ酪酸(IBA)へのカルボニル化は、750時間にわたって95%の選択率で達成された。CO/オレフィン比が24まで減少するとプロピレンのカルボニル化の選択率は61%まで低下し、90まで減少するとエチレンのカルボニル化の選択率は57%に低下した。実験と理論計算を組み合わせた結果、FER型ゼオライトの8員環(8-MR)空洞内のT2-O5部位がエチレンのカルボニル化の主な活性部位であり、10員環(10-MR)内のT3-O1部位がプロピレンのカルボニル化の主な活性部位であることが示唆された。今回の知見は、オレフィンのカルボニル化の新たな方向性を開くとともに、ゼオライトに基づく新しいカルボニル化プロセスの開発に必要な条件について、極めて重要な知見をもたらす。

