免疫学:自己免疫性脱毛を引き起こす2ヒット機構
Nature 658, 8138 doi: 10.1038/s41586-026-11098-y
自己免疫疾患は免疫寛容の破綻によって生じるが、組織特異的な自己免疫を開始させる機構は、依然として十分に理解されていない。今回我々は、免疫調節異常と生理的な神経活性化が重なって、自己免疫性脱毛症を誘発する2ヒット機構を特定した。我々は、毛周期の成長期に制御性T(Treg)細胞を一過性に枯渇させると、免疫特権を有する毛包幹細胞(HFSC)がCD8+ T細胞によって破壊され、脱毛が生じる一方、休止期に枯渇させた場合にはこれが起こらないことを示す。この成長期に限定された感受性は、成長期に生理的に高まる交感神経活動に依存している。交感神経支配を除去すると発症が防がれる一方、心理的ストレスや交感神経の光遺伝学的活性化によって、通常なら抵抗性を示す休止期の皮膚が、Treg細胞の枯渇後には自己免疫攻撃を受けやすくなることが分かった。機構的には、HFSCに内在するADRB2を介した交感神経のノルアドレナリンシグナル伝達が、成長期のHFSCにおける内在性レトロウイルス(ERV)の生理的な再活性化を促進する。Treg細胞が枯渇した条件下では、このERVに関連した状態が、AIM2依存的な自然免疫活性化と病原性CD8+ T細胞応答を引き起こすことで、自己免疫性の病態を駆動した。これと一致して、Aim2の遺伝的欠失、あるいはERVの逆転写の薬理学的阻害によって、発症が防がれた。総合すると、これらの知見は、生理的な交感神経活動が一過性に脆弱な上皮状態を作り出す一方、Treg細胞が、この状態から組織特異的な自己免疫への進行を防ぐことを示している。この神経–上皮–免疫回路は、毛周期の状態を、HFSCの免疫特権の破綻と自己免疫性脱毛症の発症に結び付ける。

