Article

創薬:近接性に基づくグラフ学習で明らかにする腫瘍関連近接抗原

Nature 658, 8138 doi: 10.1038/s41586-026-11003-7

膜タンパク質の空間的組織化は、細胞表面の生物学的特性の中でこれまであまり調べられていない側面である。空間的な近接性は、細胞機能と治療標的化の可能性を形作るが、腫瘍関連抗原(TAA)を特定する試みは、これまで主に発現にのみ着目してきた。本研究で我々は、TAAをそれらが存在する膜微小環境内で調べるために、産業的な運用に対応した、細胞表面タンパク質の近接性をマッピングするワークフローを開発した。我々はこのワークフローを用いて、12種類の受容体チロシンキナーゼと28種類の腫瘍細胞系にわたり、248の近接性マップを生成した。得られたアトラスにより、タンパク質の空間的なコミュニティーを定義し、マッピングの標的としていないタンパク質間の保存された近接関係を推定する、相関性に基づく解析フレームワークMetaMapの開発が可能になった。また、腫瘍関連近接抗原(TAPA:tumour-associated proximity antigen)という概念が確立された。TAPAは、発現のみではなく、TAAとの疾患特異的な空間的近接性によって定義される、共標的のクラスである。我々は、これらの近接性から得られた関係性をマルチモーダルな優先順位付けフレームワークに統合することで、さまざまな治療モダリティーにわたって腫瘍細胞の殺傷を増強するTAA–TAPAペアとして、EGFR–CDCP1を特定し、検証を行った。まとめると本研究は、疾患に関連した膜上の近接性を、精密な多重特異性治療薬の設計を導く原理として進展させるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度