気候科学:機械学習による季節内予測の進展
Nature 658, 8137 doi: 10.1038/s41586-026-11126-x
意思決定者は、作物の植え付け、山火事の管理、水とエネルギーの配分、極端気象への備えを行う際に、気象予測に頼っている。現在、物理に基づく力学モデルとデータ駆動型の人工知能(AI)モデルの着実な進歩によって、こうした予測は2週間先までは、かつてない精度を達成している。しかし、季節内の時間スケール(2~6週間先)では、累積誤差、系統的なモデルバイアス、大気のカオス的性質に起因して、モデルの予測スキルが急激に低下する。この低下に対処するため、今回我々は、過去の確率予測を補正するよう学習することで系統誤差を大幅に減らす機械学習の枠組みである、確率的バイアス補正を紹介する。欧州中期予報センター(ECMWF)の主要な力学モデルとAIモデルに適用すると、確率的バイアス補正によって、AI Forecasting Systemのさほど高くない季節内予測スキルが2倍になり、実運用でバイアス補正済みの力学モデルの予測スキルが、気圧の予測対象の91%、気温の92%、降水量の98%で改善された。我々は、実運用への導入を目的に確率的バイアス補正を設計した。ECMWFが2025年に開催したリアルタイム予測コンペティションでは、この手法による全球予測が、全ての気象変数と予測リードタイムで最高の成績を収め、実運用を行う6つの予報センターの力学モデル、国際的な力学マルチモデルアンサンブル、ECMWFのAI Forecasting System、世界34チームの予測システムを上回った。こうした確率予測スキルの向上は、極端事象のより正確な予測につながり、脆弱な地域社会における農業計画、エネルギー管理、災害への備えを改善する可能性がある。

