分子生物学:コヒーシンは複製フォークの接触関係を再編成し、フォークの減速と反転を助ける
Nature 658, 8137 doi: 10.1038/s41586-026-11034-0
DNA複製フォークは、がん化学療法によって負荷を受けることがあり、その結果、一本鎖DNAの蓄積とDNA合成の減速が生じる。複製ストレス下で複製フォークが示す顕著な可塑性は、複製フォークの安定性、損傷への耐性、ゲノムの完全な複製を確保する。複製フォークの始動と進行は、三次元的に組織化されたゲノム内で起こる。コヒーシン複合体によるDNAループ押し出しは、ゲノムを組織化し、DNA複製起点の活性化と配置を調節する。最近、摂動のない複製中における姉妹フォーク間の一過性の相互作用が報告された。しかし、複製ストレス時のフォーク接触が持つ機能的意義や、この状況におけるコヒーシンの役割は依然として不明である。本研究で我々は、コヒーシンを介したループ押し出しが、ストレスを受けた複製フォークにおける新生DNAの接触関係を再編成し、ゲノム安定性維持を促すことを示す。我々は、オーキシン誘導性デグロンと機能分離変異体、そして新生DNAにおけるクロマチン接触を捕捉するために新たに開発したMicro-Cに基づく手法(Repli-C)を用いて、ループを押し出すコヒーシンが停止した複製フォークに蓄積し、姉妹フォーク間のカップリングを制限する一方、レプリコン間の接触を促進することを見いだした。この過程は、PRIMPOLが一本鎖DNAに作用するのを妨げることで、フォークの能動的な減速と反転を促した。これらの知見は、複製ストレス応答が、個々の調節イベントの単なる積み重ねではなくコヒーシンによるループ押し出しを通じて、ゲノム全体にわたりトポロジー的に統合されていることを示している。今回の結果は、ループ押し出しを行うコヒーシンの新たな機能を明らかにするとともに、腫瘍で頻繁に見られるコヒーシン変異が、がん治療に及ぼし得る影響を示している。

