細胞生物学:メタン生成菌由来の加水分解酵素がアーキアペプチドグリカンの構造を明らかにする
Nature 658, 8137 doi: 10.1038/s41586-026-11028-y
ペプチドグリカン(PG)は、細菌の細胞壁にほぼ普遍的に存在する必須要素であり、抗微生物薬の主要な標的である。アーキアは一般にPGを持たないものの、数十年前にメタン生成菌の主要クレードの1つで、PGに似たポリマーであるプソイドムレイン、すなわちアーキアPGが報告された。しかし、専用の解析ツールがないため、その性質は十分に解明されていなかった。本研究で我々は、ヒト腸マイクロバイオームの優占構成微生物の1つであるMethanobrevibacter smithiiの持つArmAが、アーキアPGに特異的な初めてのグリコシド加水分解酵素であることを突き止め、その特性を明らかにした。ArmAを用いた消化によって、アーキアPGについて広く受け入れられてきたモデルを修正する予想外の構造が明らかになった。糖鎖主鎖は、N-アセチルグルコサミン/N-アセチルガラクトサミンと、これまで報告されていなかった糖が結合した構造を持ち、我々はこの新たな糖をN-アセチルアルモサミン(N-acetylarmosamine)と命名した。糖鎖ではβ(1,4)結合とβ(1,3)結合が交互に現れ、ステムペプチドはアミド結合を介してN-アセチルアルモサミンのスクシニル基に結合している。ArmAは、グリコシド結合とペプチド架橋の両方を切断する二重の酵素活性を持つ。系統解析からは、ArmAホモログはPGを持つアーキアに限られていることが分かり、我々は多様なメタン生成菌にわたってその活性を確認した。さらに我々は、ArmAが細胞分裂部位でアーキアPGを切断し、細胞質分裂の完了に必要であることを実証した。総合するとこれらの知見は、アーキアPGの構造に関する50年来のパラダイムを覆すとともに、ArmAを、細菌におけるムラミダーゼに匹敵する影響をもたらす重要なツールとして確立しており、これによって、メタン生成菌の細胞壁について生化学的および遺伝学的な解析が可能になった。メタン生成菌の生態学的・生物工学的重要性を踏まえると、今回の結果は、標的を定めた介入への新たな道を開く。

