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生化学:NMRスペクトルの欠落から学ぶ、ミリ秒スケールのタンパク質動態
Nature 658, 8137 doi: 10.1038/s41586-026-10989-4
多くのタンパク質の生物学的機能は、マイクロ秒からミリ秒(μs–ms)の時間スケールで起こる複数のコンホメーション間の相互変換を基盤としている。しかし、標準化された大規模な実験データがないことで、こうした運動をより予測可能な形で理解することが妨げられてきた。今回我々は、100件を超える核磁気共鳴(NMR)緩和データセットをキュレーションし、これまで見過ごされてきた可能性のある、μs–ms動態に関する観測可能量を見いだした。ミリ秒スケールの動態は、NMRシグナルを検出できないほど広幅化させることがあり、その結果、生体分子磁気共鳴データバンク(BMRB)に登録された約1万のタンパク質の化学シフトデータセットでは、一部の残基の帰属が欠落している。我々は、残基の帰属の欠落は主としてμs–msスケールの運動による交換広幅化に起因すると仮定し、どの残基で帰属が欠落するかを予測するよう、さまざまな深層学習モデルを訓練した。これらのモデルは、NMR緩和実験によって測定される、μs–ms動態を示す交換も予測する。我々は、これらのモデルの中で最良のものをDyna-1と名付けた。このモデルは、マルチモーダル言語モデルESM-3の中間層を活用する。注目すべきことに、酵素触媒作用やリガンド結合などの生物学的機能に直接結び付く動態は、Dyna-1によって特に良く予測された。これは、μs–msの交換を示す残基は、より良く保存されているという我々の知見と対応する。我々は、ここで提示したデータセットとモデルが、動態と機能の共通言語の解明に変革をもたらすと期待する。

