神経回路:睡眠欲求を調節する、覚醒時に活性化されるニューロン集団
Nature 658, 8137 doi: 10.1038/s41586-026-10928-3
長時間の覚醒状態は睡眠欲求を高め、通常これは睡眠量の増加によって補償される。このような睡眠の恒常性調節は我々の生活に深く影響を与えているが、その根底にある神経回路機構は、依然としてほとんど分かっていない。本研究で我々は、マウスで、全脳活動マッピング、標的を定めたニューロン操作、電気生理学を用いて、覚醒時に活性化されて睡眠欲求を調節するニューロンを特定した。睡眠遮断、回復睡眠および概日行動に対する全脳の応答を比較することにより、前内側視索前野と正中縫線が、睡眠不足を符号化している領域の候補であることが特定された。これらの領域の睡眠遮断応答細胞を活性化すると、回復睡眠に類似した、睡眠の持続時間と強度の増加が誘導された。逆に、睡眠遮断応答細胞を抑制すると睡眠量が減少し、通常は睡眠遮断中に観察される睡眠傾向の増大が消失した。睡眠遮断に応答する正中縫線内のニューロンは、睡眠に関連する皮質下領域に投射しており、視索前視床下部を経由して作用する。これらの睡眠遮断感受性細胞には、セロトニン作動性ニューロンと、睡眠遮断中に固有の興奮性が上昇する特定のGABA作動性ニューロン集団が含まれる。GABA作動性ニューロンとセロトニン作動性ニューロンを同時に活性化すると、睡眠が相乗的に促進されたが、同時に抑制すると、睡眠量は慢性的に約70%減少した。意外にも、ほとんどのマウスは、この顕著な睡眠量の減少にもかかわらず生存し、睡眠欲求の補償的な増加や、重度の睡眠遮断と通常関連する行動異常を示さなかった。まとめると、これらの結果により、覚醒中に活性化され、睡眠欲求にとって非常に重要なニューロン集団が明らかになった。

