微生物学:乳児の腸マイクロバイオームと健康に対する母親の影響
Nature 658, 8134 doi: 10.1038/s41586-026-10922-9
乳児の腸マイクロバイオームの確立は、その後の健康にとって極めて重要であるが、その形成に母親に関する要因や生後早期の要因がどのように関与しているかは依然として明らかになっていない。本論文で我々は、オランダの出生コホートであるLifelines NEXTに参加する母子714組から、妊娠12週から産後1年までの期間に経時的に採取した糞便試料4526検体を、メタゲノム塩基配列解読によって解析した。我々はこれらのデータを、474項目の臨床変数・曝露変数、および母乳と膣のマイクロバイオームの超高深度塩基配列解読データと統合した。母親の腸マイクロバイオームは、食事、感染症、妊娠前の喫煙の影響を受けるものの、妊娠中から産後にかけての変化はごくわずかであることが観察された。母親の腸マイクロバイオームは乳児の腸内菌株の主要なリザーバーであり、膣および母乳のマイクロバイオームからの伝播は散発的であった。母子間での腸内菌株の共有は時間依存的であり、母親の腸内における菌種の存在量が多いほど、その菌種に属する菌株が伝播する可能性が高まる。我々は、母親の腸マイクロバイオームが乳児の湿疹の予測因子となることを見いだした。乳児の腸マイクロバイオームとその機能プロファイルを主に形作っているのは分娩様式と授乳様式であり、母親側の曝露も影響していた。経膣分娩で出生した乳児585人のうち155人は自宅で生まれたが、自宅分娩と乳児の腸マイクロバイオーム組成との関連は、いきみ時間や破水後の経過時間などの他の分娩関連パラメーターと同様、中程度にとどまった。以上より、我々は、乳児の腸内生態系と生後早期の健康アウトカムを形作る上で、母親およびそのマイクロバイオームが中心的な役割を担うことを浮き彫りにした。

