古生物学:白亜紀のゼレステス類哺乳類はザランブダレステス上科に属する
Nature 657, 8133 doi: 10.1038/s41586-026-10861-5
有胎盤哺乳類(コウモリ類、霊長類、鯨類を含むクレード)は、古第三紀における多様化の過程で極めて多様な臼歯を発達させた。これは、肉食や草食といった派生的な食性を示している。一方、有胎盤類のステム系統である白亜紀の真獣類タクソンは、歯列がより保存的であり、概して高く鋭い咬頭を有する食虫性向きの臼歯を備えていた。38年前に、後期白亜紀のゼレステス類哺乳類の比較的低い(丘状歯状の)咬頭を有する臼歯が発見され、それが草食性の有胎盤類である偶蹄類の臼歯と収斂するものであったことから、白亜紀に、より有胎盤類に似た化石哺乳類の未知の放散があったことが示唆された。しかし、ゼレステス類の単一個体のものとして関連付けられる歯、頭蓋、骨格の標本は発見されておらず、ゼレステス類が形態的および系統発生学的にどのような動物だったかに関して仮説を厳密に検証することはできていなかった。本論文で我々は、モンゴルで発見された後期白亜紀の新たな化石動物Tamirkhan balcarceliを報告する。そのタイプ標本は単一個体のもので、四角形のゼレステス類様臼歯を伴う頭蓋と、走行への適応が見られる部分的な後肢からなる。Tamirkhanは、ゼレステス類の臼歯が、従来、よく知られた白亜紀のクレードであるザランブダレステス科(Zalambdalestidae)の診断基準とされてきた特徴である、細長い下顎第1切歯(エナメル質が限局していて開放根が頬歯の下に伸びている)、涙骨を貫く管(translacrimal canal)、中足骨が細長くて遠位部が癒合した後肢と併存したことを示している。従ってゼレステス類は、ザランブダレステス上科(Zalambdalestoidea)内の歯の特徴が異なる動物群であり、骨格的特徴はこのクレードのものであった。

