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構造生物学:クリミア・コンゴ出血熱ウイルスのポリメラーゼの構造と阻害
Nature 657, 8133 doi: 10.1038/s41586-026-10701-6
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)は、マダニ媒介性ウイルスであり、ヒトには重篤で、しばしば致死的な感染症を引き起こす。CCHFVは、承認されたワクチンや治療薬がないため、医学的対策手段の開発が緊急に求められる、世界保健機関(WHO)の優先病原体に指定されている。CCHFVのLarge(L)タンパク質は、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのCCHFV-Lとして機能し、有望な抗ウイルス標的であるとともに、ブニヤウイルス目で最大級のウイルスポリメラーゼである。今回我々は、in vitroでCCHFV-LによるRNA合成に必要な補因子を明らかにした。これにより、伸長中のCCHFV-L–RNA複合体を捕捉して、その構造を決定することができた。得られた構造から、ポリメラーゼが著しく拡大した構造を持ち、CCHFV-LによるRNA合成にはこのポリメラーゼの周辺ドメインの構造秩序化が伴うことが分かった。また、バロキサビル由来の実験薬WXSH0208がエンドヌクレアーゼ阻害を介して、また、細胞系でナノモル濃度域の効力を持つヌクレオシド類縁体2′-デオキシ-2′-フルオロシチジンが転位後の鎖終結を介して、このポリメラーゼを阻害する仕組みも明らかになった。総合的にこれらの結果は、CCHFV-Lを標的とする阻害剤の合理的な最適化に向けて、構造に基づく指針を与えると期待される。

