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環境科学:熱帯の氷床コアから得られた全球の大気中メタン濃度の記録
Nature 657, 8131 doi: 10.1038/s41586-026-10938-1
熱帯の湿地は、大気中メタン(CH4)の最大の天然発生源であると広く考えられている。しかし、湿地の広がりとCH4生成量が不確かであるため、モデル化されたCH4の排出傾向には大きなばらつきがある。過去の再構築の大半は、極域の氷床コアから得られたデータに依存しており、CH4収支に対する熱帯域の寄与を十分に解明できていなかった。今回我々は、ワスカラン山南峰山頂で掘削された氷床コア(山頂コアA〔SCA〕、南緯9.122度、西経77.605度、標高6768 m)から得られた、過去2000年間の大気中CH4濃度の記録を提示する。我々は、このCH4記録の傾向と規模が、極域の記録とおおむね一致することを見いだした。我々のδ13C-CH4測定結果(紀元1530年頃〜紀元1999年)は、熱帯のCH4発生源が支配的であることと矛盾しない同位体値と一致していた。この記録を大気の4ボックスモデルに統合したところ、過去2000年にわたって、CH4発生源の強度では赤道域が継続的に支配的であったことが示唆された。今回の知見は、赤道域のCH4排出量が、極域の氷床コアデータのみに基づくこれまでの推定を上回ることを示しており、これは、低緯度域からのCH4排出量が産業革命以前(PI)のCH4変動を支配していたという長年の仮説を裏付けている。これらの結果は、CH4の変動と緯度分布を再構築する上で、熱帯の氷床コアが重要であることを立証している。

