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神経科学:ショウジョウバエの嗅覚ナビゲーションにおけるベクトル形式の戦略

Nature 657, 8131 doi: 10.1038/s41586-026-10827-7

多くの種にとって、においは重要なナビゲーションの合図である。においプリュームの追跡は、反射的な過程としてモデル化されてきたが、動物が過去ににおいと遭遇したときの記憶を用いて、化学的環境の空間構造や、その環境内での自己の位置を推測できるかどうかは分かっていない。今回我々は、頭部を固定したショウジョウバエ(Drosophila)が、構造を持った化学的景観を探索できる仮想現実の嗅覚パラダイムを開発した。これにより、記憶の機構がそのナビゲーション戦略を形作る仕組みについての手掛かりが得られた。我々は、ハエが、誘引性のにおいの回廊の縁に沿って、急速な反転旋回によってにおいプリュームから外れる行動と、においプリュームの縁へ方向を定めて戻る行動を交互に繰り返すことで、においの回廊を追跡していることを見いだした。我々は、行動のモデル化、機能的カルシウム画像化および神経機能の摂動を組み合わせて、この「縁たどり」戦略が、ショウジョウバエの中枢複合体内部におけるベクトル形式の演算に依存していることを示す。この演算では、ハエがにおいプリュームの縁へ戻る方向についての記憶を保存し、それを動的に更新する。これと符合して、我々は、ハエのナビゲーション目標を符号化している扇状体内のFC2ニューロンは、ハエがにおいプリュームから外れたときに、においプリュームの縁に戻るための方向信号を発していることを見いだした。従って、においプリュームの追跡には保存されたナビゲーションツールキットの構成要素が関与しており、これによってハエは方向の記憶を使って、複雑で変化し続ける化学的景観内をナビゲートすることができる。

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