Review

生物工学:気候変動下で作物の栄養価を高める遺伝子技術

Nature 654, 8120 doi: 10.1038/s41586-026-10593-6

現在、7億人を超える人々がカロリー不足による飢餓状態にあり、20億人を超える人々が、「隠れた飢餓」として知られる微量栄養素の欠乏に苦しんでいる。農業の観点からは、「飢餓をゼロに」(国連の持続可能な開発目標2)を達成するために、3つの主要な目標に同時に取り組む必要がある。すなわち、(1)収量の向上、(2)推奨される1日摂取量維持のための、ビタミンおよびミネラルの密度の向上(多重生物学的栄養強化〔multi-biofortification〕)、(3)気候変動に対するレジリアンスの向上である。緑の革命は世界のカロリー生産量を増加させたが、栄養の質よりも高収量を優先したことで、隠れた飢餓を悪化させた。地球規模の気候変動によるストレスは、複数の微量栄養素の密度を低下させることが示されている。極めて高い精度でゲノム編集を可能にするCRISPR–Casは、画期的な育種技術として台頭し、既に多くの国で採用されている。本総説で我々は、食餌由来のビタミンおよびミネラルの欠乏を緩和するのに必要な水準まで微量栄養素密度を高め、生物学的栄養強化の目標を達成するために、CRISPR–Casに基づく手法をどのように使用できるかを検討する。飢餓ゼロを達成するために利用できる時間枠が限られていることを考慮すると、我々は、CRISPR–Cas技術を、形質転換やその他の技術に基づく代謝工学と組み合わせるべきだと主張する。我々はまた、21世紀における最も重要な社会課題の1つに取り組むために、代謝経路や現行のCRISPR–Casの方法論を超えた、未活用の資源についても考察する。

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