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原子核分光法:固体状態トリウム229原子核時計の周波数再現性
Nature 650, 8100 doi: 10.1038/s41586-025-09999-5
固体状態のトリウム229(229Th)原子核時計は、精密計測学と基礎物理学に新たな機会を提供すると見込まれている。原子核遷移が環境に対して本質的に低感度であるという利点を利用することで、現在の光格子原子時計と比較して桁違いに多くの放出体を固体結晶に内在させることができる。さらに、簡単な熱制御しか必要としない固体系は、実験室外で展開可能な小型の時計を開発する鍵である。今回我々は、229Th:CaF2原子核時計遷移において、あらゆる時計の重要な性能指標である周波数再現性を調べ、その特性を評価した。我々は、ドーピング濃度・温度・時間の関数として、遷移線幅と中心周波数を測定した。そして、原子核遷移の線幅に濃度に依存する不均一性があり、これがホスト結晶の固有特性によって制限されることを報告する。229Th:CaF2原子核時計の最適動作温度は196(5) Kと決定された。この温度では一次の熱感度が消失する。これにより、異なる四重極分裂線を使用するin situ温度同時検知が可能になり、温度によって誘起される系統的シフトを、10−18という相対周波数不確かさのレベルを下回るまで低減できた。195 Kにおいて、ドーピング濃度の異なる2つの229Th:CaF2結晶を用いた7カ月間にわたる原子核遷移周波数の再現性は、220 Hz(相対値で1.1 × 10−13)であった。これらの結果は、固体ホスト内の229Thのコヒーレントな原子核励起を理解・制御・利用するための、そして基本定数の時間的変動を絞り込むための基礎となる。

