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ファイバーエレクトロニクス:多層らせん構造によるファイバー集積回路

Nature 650, 8100 doi: 10.1038/s41586-025-09974-0

ファイバー電子デバイスは、従来の繊維や衣服を、人体や環境と能動的に相互作用して将来の生活を形作る新世代ウエアラブルデバイスへと変容させつつある。ファイバー電子デバイスは既に、電力供給機能、センシング機能、ディスプレイ機能など、望まれるほぼ全ての機能を実現している。しかし、あらゆる電子製品と同様のインテリジェントな双方向型ファイバーシステムの構築において中核となる、実用的な情報処理ファイバーが、依然としてこのパズルの欠けたピースとなっている。今回我々は、かつてないマイクロデバイス密度とマルチモーダル処理能力を備えたファイバー集積回路(FIC)を作成することで、このギャップを埋める。集積密度は、10万個/cmのトランジスターに達しており、双方向型ファイバーシステムの要件を実効的に満たしている。このFICは、典型的な市販の演算チップと同様にデジタル信号とアナログ信号を処理できるだけでなく、最先端のインメモリー画像処理プロセッサーに匹敵する高認識精度ニューラルコンピューティングを実現できる。今回のFICは、1万サイクルの繰り返し屈曲や摩耗、30%引き伸ばし、180° cm−1の角度でのねじり、さらには重量15.6トンのコンテナトラックによる押し潰しなど、かさばる平面回路が耐えられないような過酷な使用条件下でも安定である。FICの実現によって、硬くかさばる外部情報処理装置を全く必要とせずに、1本のファイバー内で閉ループシステムが可能になる。我々は、この十分に柔軟なファイバーシステムが、例えば、脳–コンピューターインターフェース、スマートテキスタイル、仮想現実ウエアラブルデバイスなど、多くの最先端応用に望まれる相互作用パターンへの道を開くことを実証する。本研究は、ファイバーデバイスをインテリジェントシステムへと発展させるのを促進し得る新たな知見を提示するものである。

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