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進化学:アスガルドアーキアの真核生物誕生への支配的な寄与
Nature 650, 8100 doi: 10.1038/s41586-025-09960-6
真核生物の起源は、進化生物学における重要な問題の1つである。真核生物の最終共通祖先(LECA)には既に、ミトコンドリア(アルファプロテオバクテリアの細胞内共生に由来する細胞小器官)が含まれていたことが実証され、真核生物に最も近縁なアーキアであるアスガルドアーキアが発見されたことで、真核生物誕生の進化的シナリオについての情報および制約が得られている。今回我々は、制約付き系統樹を用いる進化仮説の検討を中心とした厳密な統計的枠組み内で、LECAまでたどることのできる、真核生物の中核をなす遺伝子群の起源について包括的な解析を行った。その結果、真核生物の保存された機能系や経路の大部分の起源に、アスガルドアーキアが支配的に寄与していることが分かった。アルファプロテオバクテリアの寄与は限定的で、これらは主にエネルギー変換系と鉄–硫黄(Fe–S)クラスター生合成に関係することが明らかになった一方、他の細菌門からの寄与は、真核生物の機能的景観全体にわたり、明確で一貫した傾向のない状態で散在していた。これらの知見は、真核細胞構成の重要な特徴がLECAにつながるアスガルド系統において進化し、その後アルファプロテオバクテリア内部共生菌が捕捉されて、それが、内部共生が起こる前と後の両方で他の細菌からの多数の遺伝子の散発的な水平獲得によって増補された、という真核生物誕生モデルを示唆している。

