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素粒子物理学:QCD閉じ込め状態時のクォーク間スピン相関の測定

Nature 650, 8100 doi: 10.1038/s41586-025-09920-0

真空は現在、揺らぐエネルギー場と仮想クォーク–反クォーク対の凝縮体を特徴とする、豊かで複雑な構造を有すると理解されている。消失しないクォーク凝縮体⟨qq⟩を特徴とする近似的なカイラル対称性の自発的な破れは、インスタントンなどのトポロジカルに非自明なゲージ配位を通じて動的に生成される。クォーク閉じ込めに伴う質量生成とカイラル対称性の破れを結び付ける正確な機構は依然として、強い相互作用の基本理論である量子色力学(QCD)における奥深い未解決問題である。高エネルギーの陽子–陽子衝突で仮想クォーク–反クォーク対が真空から解放される可能性があり、これらはその後、閉じ込めを経てハドロンを形成するが、そうしたハドロンの性質は、QCD閉じ込めとクォーク凝縮体を探るプローブの役割をする可能性がある。今回我々は、スピン相関した仮想ストレンジクォーク–反クォーク対から引き継がれたΛΛハイペロン対におけるスピン相関の証拠を報告する。ブルックヘブン国立研究所の相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)で行われたSTAR実験の測定によって、QCD真空からのスピン相関を持つ仮想クォーク対を終状態ハドロンに結び付ける、(18 ± 4)%の相対偏極信号が明らかになった。重要なことに、この相関は、ハイペロン対の相対放出角度が大きいときに消失し、これは量子系のデコヒーレンスと一致する。今回の知見は、クォーク閉じ込めとエンタングルメントの力学および相互作用を探る新たな実験モデルとなる。

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