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腫瘍免疫学:細胞質ゾル中の細菌受容体ALPK1に対するアゴニストは抗腫瘍免疫を引き起こす

Nature 650, 8100 doi: 10.1038/s41586-025-09828-9

自然免疫系を標的にすれば、がん免疫療法、特にチェックポイント阻害剤の改善に役立つと期待される。しかし、有望な自然免疫受容体であるTLRやSTINGに対するアゴニストの使用は、難問に直面している。今回我々は、細菌のADP-ヘプトース(ADP-Hep)に対するαキナーゼ1(ALPK1)受容体の抗腫瘍機能について調べた。マウスにADP-Hepを投与すると、CXCL10やCCL2をはじめとする複数の炎症誘発性因子が誘導され、Alpk1に依存した抗腫瘍免疫が促進された。また機能獲得型のALPK1(T237M)病原性変異体を持つマウスは、移植された腫瘍を拒絶した。医薬品化学を用いることにより、我々はより強力な類縁体であるUDSP-Hepを見いだした。ADP-Hepとは対照的に、UDSP-HepはAlpk1の多型(マウスの細菌関連大腸炎への易罹患性と関連する)を識別した。UDSP-Hepは、Alpk1を介するより強力な抗腫瘍作用を示し、チェックポイント阻害剤との相乗効果が見られた。この抗腫瘍作用はCD8+ T細胞、樹状細胞(DC)およびマクロファージを必要とし、CXCL10またはCCL2の機能を阻害する抗体によって抑制された。ALPK1作動薬はDCを活性化して交差提示し、腫瘍流入領域リンパ節での腫瘍特異的T細胞の増殖を促進した。ALPK1は非免疫細胞でSTINGよりも広く発現されており、誘導される炎症シグネチャーはSTINGとは異なる。UDSP-Hepは、腫瘍細胞抗原提示やマクロファージ-DC交差提示、保護作用を持つ記憶T細胞の分化を刺激する点で作動薬であるSTINGとは異なっており、T細胞のアポトーシスを誘発することもない。今回の研究によって、ALPK1を作動させることの抗腫瘍効果が明らかになり、がんの免疫療法におけるALPK1アゴニストの可能性が示唆された。

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