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進化学:ホモ・サピエンス系統の基部に位置付けられるモロッコの初期ヒト族
Nature 649, 8098 doi: 10.1038/s41586-025-09914-y
古遺伝学的な証拠は、現生人類とネアンデルタール人とデニソワ人の最終共通祖先が、約76万5000~55万年前に存在したことを示唆している。だが、そうした祖先的人類の地理的分布と形態的特徴はいずれも未解明である。スペイン・アタプエルカのグラン・ドリナ遺跡のTD6層から出土した、年代が95万~77万年前と推定されるホモ・アンテセッサー(Homo antecessor)の化石は、この祖先集団の有力な候補として提案されている。しかし、年代が確実に9万年以上前とされているホモ・サピエンス(Homo sapiens)の化石は全て、アフリカ内またはアジアへの玄関口で発見されており、これは、現生人類の起源がユーラシアではなくアフリカであることを強く示唆している。本論文で我々は、モロッコ・カサブランカのトーマス採石場IのGrotte à Hominidés(ThI-GH)で新たに発見された、年代が約77万3000年前と推定される一連のヒト族化石について報告する。これらの化石は、年代的にはホモ・アンテセッサーと近いが形態的には異なっており、原始的形質と、後のホモ・サピエンスやユーラシアの古代ヒト族を連想させる派生的特徴を共に示す。ThI-GHのヒト族は、モロッコのジェベル・イルード遺跡で発見された最古のホモ・サピエンス個体よりも年代の古いアフリカの集団について知見をもたらすとともに、現生人類の祖先に当たるアフリカの系統の存在を示す強力な証拠を提示している。これら一連の化石は、現生人類とネアンデルタール人とデニソワ人の最終共通祖先に関して手掛かりをもたらす。

