Article
生化学:ATPによって切り換わる分子スイッチはヒトのmRNA核外輸送を指揮する
Nature 649, 8098 doi: 10.1038/s41586-025-09832-z
mRNAの核外輸送は、真核生物の遺伝子発現における重要な段階の1つである。最近、新たに転写されたmRNAがリボ核タンパク質複合体(mRNP)に組み込まれる仕組みについては、分子レベルで明らかになってきているが、mRNAの核外輸送を制御する、それに続く現象の解明はほとんど進んでいない。今回我々は、ヒトmRNAの核外輸送について、mRNPが結合した転写–核外輸送複合体(TREX)の再構築、核外輸送可能なmRNPの形成、mRNPの核膜孔複合体(NPC)への連結、mRNPのNPCからの解離と核外輸送開始を含む重要な事象の分子基盤を明らかにした。生化学データおよび構造データから、ATPアーゼUAP56(別名DDX39)が中心的な分子スイッチとして働き、ATPによって切り換わるmRNA結合サイクルを介して核質中のmRNPをTREXからNPCに係留されたTREX-2複合体へと誘導することが明らかになった。これらの知見を総合することにより、進化の途上でよく保存された一般的なmRNA核外輸送経路の枠組みが明確になった。

