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量子物理学:極低温フェルミ気体における二次元非エルミート表皮効果
Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08347-3
非エルミート性の概念によって、バンドトポロジーの理解が広がり、直感に反する現象の出現につながっている。その一例が、境界での固有状態の集中が関与する非エルミート表皮効果(NHSE)である。しかし、湾曲した空間、高次トポロジカル相、ブラックホールなどの分野において高次元の非エルミート量子系から手掛かりを得られる可能性があるにもかかわらず、高次元でこの効果が実現されるかどうかは依然調べられていない。今回我々は、調整可能な散逸を伴うスピン–軌道結合光格子中で、NHSEを示す、極低温フェルミオンの二次元(2D)非エルミートトポロジカルバンドを作り出した。我々はまず、非ゼロの散逸を伴う複素エネルギー面において、顕著な非ゼロのスペクトル回転数を実験的に実証し、これにより2D表皮効果の存在を確立した。また、原子の重心運動をモニタリングすることによって、実空間においてNHSEの動的な兆候を観測した。さらに我々は、一対の例外点が運動量空間において生成され、端の開いたバルクのフェルミアークとつながっていることも実証する。これは、エルミート系で見られる閉じたループとは対照的である。付随するこれらの例外点は、散逸の増加とともに現れてシフトし、フェルミアークの形成につながる。今回の成果は、高次元における非エルミート物理のシミュレーションへのさらなる研究の舞台を設定し、量子統計とNHSEの相互関連を理解する道を開く。

