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進化学:シルル紀の新たなAculifera類化石が明らかにする初期の軟体動物の複雑な歴史

Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08312-0

軟体動物門は種数が2番目に多い動物門であるが、その初期進化の道筋は長らく論争の的であった。長期にわたって存在してきたこの極めて多様な動物群の過去の形態のうち、現代の動物相に残っているものはごくわずかである。最近の解析において、軟体動物は一貫して根本から2つの姉妹クレードに分かれることが示されている。その1つは、腹足類や二枚貝類、頭足類などを含む貝殻亜門(Conchifera)であり、もう1つは、多板類(「ヒザラガイ類」)と無板類からなるAculifera類である。軟体動物の進化は全体としてボディープランの特徴に見られる可塑性によって特徴付けられるが、Aculifera類はこれまで、より保守性が高いと解釈されてきた。わずかに存在する古生代初期の完全に保存されたAculifera類化石やAculifera類に似た動物の化石は、概して移行期の形態と見なされ、現生の多板類と無板類の体の形態に見られる対照的な特徴に関する疑問に情報を与えると考えられてきた。初期のAculifera類の歴史と、この動物群が占めていた形態的・生態的な範囲に関しては、いまだ十分な標本数が得られていない。本論文で我々は、シルル紀の英国ヘレフォードシャー化石鉱脈から出土した、三次元的に保存されているAculifera類の新種2種を報告する。これらは、このクレードの形態的・生態的な範囲を大幅に拡張するものである。系統発生解析の結果、これら2種はタクソンの複雑な集合の内部に位置付けられ、殻の存在や足の性質など、基本的な特徴の状態の逆転が示唆された。形態的保守性という従来の仮説とは対照的に、初期のAculifera類の進化は、他のクラウン群軟体動物の多様化に匹敵するほど多数の独特な形態を生み出していたようだ。

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