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進化遺伝学:系統発生から病原体の適応度動態を学習する

Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08309-9

病原体の遺伝的多様性の動態は、適応度の上昇した系統の出現を含め、疾患生態学の基本概念であり、公衆衛生に重要な意味を持つ。しかし、このような系統の特定および関連する適応度の推定は、いまだ困難であり、高密度に試料採取を行ったシステム以外ではほとんど行われていない。今回我々は、系統樹における集団構成の変化をまとめることで、共有される適応度と進化的関係を基盤として系統の自動検出を可能にするスケーラブルな手法phylowaveを提示する。我々は、ヒトの健康に対する脅威として十分に研究されているものも、あまり研究されていないものも含め、幅広いウイルスおよび細菌(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2〔SARS-CoV-2〕、インフルエンザAサブタイプH3N2、百日咳菌〔Bordetella pertussis〕、結核菌〔Mycobacterium tuberculosis〕)に対してこの手法を用いた。その結果、phylowaveは各病原体について既知の主要な流行系統を復元し、適応度の変化に関連した特定のアミノ酸変化を検出できることが分かった。さらに、phylowaveにより、百日咳菌の同時流行している3系統など、これまで検出されていなかった適応度が上昇した系統が特定された。phylowaveを用いた推定は、不均一で限られた観察に対してもロバストであった。広く適用が可能なこの手法は、公衆衛生活動を支援したり、病原体の適応度の基本的な駆動因子を探索したりするために、リアルタイムで進化を監視する手段となる。

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