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生化学:mRNAキャップの認識機構
Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08304-0
翻訳開始の際には、mRNA分子がリボソームへ運び込まれるために、識別されて活性化されなくてはならない。この律速段階では、ヘテロ三量体タンパク質である真核生物翻訳開始因子eIF4FがmRNAの5′末端にある7-メチルグアノシンキャップを認識して効果的に結合し、それ以降、mRNAの持つメッセージを活性化する。キャップの認識とmRNAの活性化は遺伝子発現で基本的な調節の役割を担っているが、その基盤となる分子レベルの現象はいまだに明らかになっていない。今回我々は、eIF4Fが完全長の天然mRNA分子上で生産性のある部位とない部位とを識別する動態を詳しく調べるため、単一分子蛍光画像化システムを開発した。単一分子レベルで、mRNA全長にわたってeIF4Fを確率論的に抽出して観察し、最終的にキャップ認識を行いその後に続くメッセージ活性化を推進するeIF4Fサブユニット間でアロステリックな情報交換が起こることを見いだした。これらの実験によって我々は、eIF4Fの各サブユニットの機能を明らかにし、活性化されたメッセージの構成を厳密に規定するmRNA活性化のモデルを提示した。このモデルによって、mRNA分子が他のmRNA分子と識別される仕組みと、他のRNA結合タンパク質が翻訳開始の効率を制御する仕組みを理解するための全般的な枠組みが整った。

