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化学:カチオン性Pd錯体によるケトンおよびエステルのβ-C–H結合官能基化

Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08281-4

C–H活性化は、有機分子を官能基化する最も直接的な方法である。この分野を大きく進歩させるには、必要な活性と選択性を実現できる特定の配向基が依然として必要である。元々備わっている官能基によって配向されるC–H活性化反応の開発は、合成における幅広い応用に不可欠である。この10年間で、数世代の二官能性配位子が開発され、遊離カルボン酸、遊離脂肪族アミン、天然アミド、アルコールのC(sp3)–H活性化反応が可能になった。しかし、ケトンやカルボン酸エステルのための効果的な触媒は、まだ実現されていない。今回我々は、モノ保護化アミノ中性アミド(MPANA)配位子を用いた、ケトンとカルボン酸エステルの分子間アリール化、ヒドロキシル化、分子内C(sp3)–H/C(sp2)–Hカップリングを含む、多様なメチルβ-C–H官能基化を報告する。この反応性の達成には、MPANA配位子とHBF4の組み合わせによる、カチオン性Pd(II)錯体のin situ生成が不可欠である。これらの反応は環状ケトンや環状ラクタムに適合可能であるため、スピロ環系や縮合環系を合成する方法が得られる。機構的実験と密度汎関数理論研究によって、触媒–基質親和性を強化しC–H開裂ステップを促進させる上でMPANA配位子を持つカチオン性Pd錯体が果たす役割が裏付けられた。

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