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がん:がん細胞は単球を介したT細胞刺激を阻害して免疫を回避する

Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08257-4

腫瘍微小環境はがん細胞によってプログラム化されていて、抗腫瘍免疫応答に大きな影響を与える。腫瘍微小環境内では、CD8+ T細胞が特殊化したニッチにおいて完全なエフェクター分化を経て、細胞傷害性の抗腫瘍機能を獲得する。この過程には、通常型の1型樹状細胞との相互作用が関与すると考えられているが、その下で役割を担っている細胞の種類や分子機構については、完全には分かっていない。今回我々は、炎症性単球が、腫瘍内T細胞刺激において重要な役割を担い得ることを示す。これらの細胞はCxcl9Cxcl10およびIl15を発現するが、抗原を交差提示する通常型の1型樹状細胞とは対照的に、炎症性単球は腫瘍細胞から「クロスドレッシング(cross-dressing)」によってペプチドと主要組織適合遺伝子複合体クラスIの複合体を獲得および提示する。がん細胞でのMAPKシグナル伝達の過剰活性化は、I型インターフェロン(IFN-I)サイトカインの産生低下と、プロスタグランジンE2(PGE2)の分泌誘導を協調的に行うことでこの過程を妨げ、炎症性単球の状態と腫瘍内T細胞の刺激を阻害する。IFN-Iサイトカイン産生の亢進とPGE2分泌の遮断は、この過程を回復させて、T細胞を介した免疫に対する腫瘍の感受性を復活させる。まとめると我々の研究は、腫瘍内T細胞刺激における炎症性単球の中心的な役割を明らかにし、発がん性シグナル伝達がPGE2とIFN-Iの拮抗的な調節を介してT細胞応答を妨げる仕組みを示し、免疫療法を増強するための合理的な併用療法を提唱している。

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