Article

神経回路:ショウジョウバエにおいて社会的状態は3つの回路機構を用いて視覚を変化させる

Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08255-6

動物は大量の視覚情報にさらされることが多く、そのときどきのニーズに基づいて特定の視覚的特徴の優先順位を決定する必要がある。視覚的特徴を検出して伝達する神経回路については、よく研究されている。しかし、動物がその目標や環境条件の変化に応じて視覚的注意を調整する仕組みについてはほとんど分かっていない。ハエは社会的行動の際に、近くにいる別のハエに注意を向ける必要がある。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)の雌が攻撃的な状態になったときに、視覚情報の流れがどのように変化するかを調べた。我々は、そのコネクトームから、ハエ程度のサイズの視覚的対象に対する攻撃的な雌の応答を変化させる、状態依存的な3つの回路モチーフを特定した。すなわち、1)選択された視覚的特徴と内部状態を伝達するニューロンからの興奮性入力の収束、2)選択された視覚的特徴検出器の樹状突起での脱抑制、3)2つの視覚的特徴検出器間の切り替えスイッチである。我々は、細胞タイプ特異的な遺伝学的ツールと、行動解析および神経生理学的解析を組み合わせて、これら3つの回路モチーフのそれぞれが雌の攻撃行動時に用いられていることを示す。我々はさらに、この同じスイッチの特徴が、求愛行動中の雄のショウジョウバエでも機能していることを明らかにする。これにより、異なる社会的行動が、回路機能を共有している可能性が示唆された。我々の研究は、感覚信号の動的処理の基礎をなす回路機構を推論するためにコネクトームを用いることの、説得力のある例を提示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度