Perspective

遺伝学:ヒトおよび非ヒト霊長類における発生・発達のGTExプロジェクト

Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08244-9

多くのヒト疾患は、初期発生・発達での異常に起因している。ほとんどの小児の疾患や障害はまれなものであるため、小児を対象とした研究は極めて少数である。機能ゲノミクス研究は主に成人組織に依拠しており、特定の発生・発達段階における重要な細胞状態を欠いている。同時に、非ヒト霊長類(NHP)種にわたって発生・発達プログラムがどの程度保存されているかもほとんど分かっていない。これは、ヒトの進化を知る上で重要な意味を持つ。今回我々は、dGTEx(developmental Genotype-Tissue Expression)プロジェクトを提示する。このプロジェクトは、ヒトとNHPにわたって、異なる発生・発達過程と種にわたる遺伝子発現・調節・遺伝学的データを統合することを目的としている。dGTExコホートは、出生から成人期までの120人のヒトドナーの74の組織部位と、発達段階がヒトと対応するNHP月齢・年齢群(追加で出生前と成体を含む)の126頭のアカゲザル(Macaca mulatta)および72頭のコモンマーモセット(Callithrix jacchus)からなる。このデータは、さまざまな組織と発生・発達過程を網羅した、全ゲノム塩基配列解読、広範なバルク・単一細胞・空間的な遺伝子発現プロファイル、そしてクロマチンアクセシビリティーデータからなる。このヒトdGTEx研究は、コミュニティーの参加とドナーの多様性を通じて、ゲノム研究における不均衡に対処しようとしている。従って、dGTExは、ヒトおよびNHPの参照データセットおよび組織バンクを提供し、これによって発生・発達過程の発現および遺伝子調節の変化、小児の障害、遺伝的多様性が発生・発達に及ばす影響の研究が可能となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度