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神経科学:組み合わせ神経符号による長期的な運動記憶
Nature 637, 8046 doi: 10.1038/s41586-024-08193-3
運動技能のレパートリーは長期にわたって安定に保持されるが、安定した記憶保持の基盤となる神経機構はよく分かっていない。また、新規な運動技能が継続して獲得されていく中で、既存の運動記憶がどのように維持されるのかも分かっていない。今回我々は、マウスの生涯の大部分にわたり、学習した動作の神経表現を追跡した。その結果、学習した動作は文脈との組み合わせで安定に保持されており、これが、既存の記憶が新しい運動学習中に消去されるのを防いでいることが示された。我々は、マウスが異なる課題の文脈において方向性のある舐めを学習する継続学習パラダイムを確立し、運動皮質の活動を、二光子画像化法を用いて最長6カ月間追跡した。同一の課題文脈中では、方向性のある舐めを駆動する活動は長期間安定で、神経表現の変動はほとんどないことが分かった。一方、新しい課題文脈を学習した場合は、同じ舐め動作を起こすのに新たな準備活動が生じた。学習によって、既存の神経表現の変更ではなく、並行して新しい運動記憶が生み出された。以前の課題文脈で同じ動作を行うよう再学習すると、数カ月後であっても以前の準備活動が再活性化された。新たな課題文脈の継続学習では、新たな準備活動パターンが作り出され続けた。文脈特異的な記憶は、今回運動系で観察されたように、継続学習を通して記憶を安定に保持する上で解決策をもたらす可能性がある。

