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生化学:転写と翻訳の共役をリアルタイムで追跡する
Nature 637, 8045 doi: 10.1038/s41586-024-08308-w
生物学の中心的な疑問の1つは、巨大分子機械がどのようにして協調的に働くのかというものである。細菌では転写と翻訳が同一の細胞区画で起こり、物理的にも機能的にも共役が可能である。リボソーム–RNAポリメラーゼ(RNAP)複合体の高分解能構造から、この共役過程の仕組みについて初期的な考察が得られているが、構造のこのようなスナップショットが反応の動的軌跡に沿ってどのように位置付けられるのかは、まだ分かっていない。今回我々は、活性を持つ完全な転写–翻訳系を再構築し、転写伸長、翻訳伸長、リボソームとRNAPの物理的機能的共役をリアルタイムで直接、同時に追跡できるような、マルチカラーの単一分子蛍光顕微鏡実験を考案した。得られたデータから、NusGが促進するmRNAループ形成によって、リボソームとRNAPの間の物理的共役は、mRNA中に数百ヌクレオチドの介在配列があっても起こり得ることが明らかになった。mRNAループの形成中にも活発な転写伸長が観察され、NusAによって停止したRNAPはリボソームにより、長距離にわたる物理的共役を介して活性化できることが判明した。これとは逆に、リボソームはRNAPと衝突すると動きが遅くなることが分かった。我々の知見は、リボソームが後ろからの衝突を必要とせずに、頻繁に停止するRNAPを効率的に救出できる仕組みについての新たな説明をもたらしている。これらの動的データを総合することにより、リボソームとRNAPという2つの重要な巨大分子装置が物理的、機能的に協調して遺伝子発現を最適化する際の作用機構の一例が明らかになった。

