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材料科学:コヒーレント回折イメージングおよびタイコグラフィーを用いる計算顕微鏡法
Nature 637, 8045 doi: 10.1038/s41586-024-08278-z
顕微鏡法と結晶構造解析法は、現代科学を進歩させるのに不可欠な2つの実験方法である。これらは互いに補完し合っており、顕微鏡法は一般的にレンズに頼って試料の局所構造を画像化し、結晶構造解析法は回折を用いて結晶の大域的原子構造を決定する。コヒーレント回折イメージング(CDI)とタイコグラフィーを含めた計算顕微鏡法は、この20年間で急速に進歩し、顕微鏡法と結晶構造解析法を統合してそれぞれの限界を克服してきた。本論文では、CDIとタイコグラフィーにおける革新的進展について概説する。そうした進展により、同一の原理と同様の計算アルゴリズムを用いて、サブオングストローム解像度での材料の原子構造の画像化から、センチメートルサイズの組織の定量的位相イメージングまで、9桁の長さスケールにわたる並外れた画像化能力が実現されている。これらの方法を適用して、結晶欠陥や非晶質(アモルファス)材料の3D原子構造が決定され、高温超伝導体における酸素空孔が可視化され、超高速ダイナミクスが捉えられてきた。また、そうした方法は、磁性材料、量子材料、エネルギー材料、ナノ材料、集積回路、生物試料のナノスケールイメージングにも用いられている。CDIとタイコグラフィーは、第4世代シンクロトロン放射、X線自由電子レーザー、高調波発生、電子顕微鏡、光学顕微鏡、最先端の検出器、深層学習を利用することによって、今後数年間で学際的科学にさらに大きく寄与することだろう。

