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発生生物学:ワニの頭部の鱗の圧縮折りたたみによる自己組織化パターン形成

Nature 637, 8045 doi: 10.1038/s41586-024-08268-1

羊膜類の皮膚付属器は、羽毛や毛、鱗など、さまざまな微小器官群を構成している。これらの構造は通常、遺伝的に制御された単位として発生し、その空間的パターン形成は、統合された機械的フィードバックを伴う自己組織化された化学的チューリングシステムから出現する。一方、ワニの頭部にある多角形の鱗の、一見すると純粋に機械的であるように見えるパターン形成は、このパラダイムの例外である。しかし、このパターン形成を駆動する機械的応力場の性質や起源は、いまだ明らかにされていない。今回我々は、ナイルワニ(Crocodylus niloticus)で上皮増殖因子タンパク質の正確なin ovo静脈内注射を行うことにより、頭部の皮膚が著しく複雑化した胚や、頭部の多角形の鱗がより小さくてカイマン(Caiman crocodilus)のものに似た孵化幼体を作製した。我々は次に、光シート蛍光顕微鏡法により、胚の組織層の幾何学的形状、コラーゲン構造、増殖細胞の空間分布を定量化した。そして、得られたデータを用いて、ワニの頭部の鱗の正常なパターン形成と実験で改変されたパターン形成の両方を再現する、現象論的な三次元の機械的成長モデルを構築した。我々の実験と数値シミュレーションから、ワニの頭部の鱗が、真皮と表皮とで剛性の異なるほぼ均一な皮膚の成長に起因する、圧縮折りたたみによって自己組織化することが実証された。我々の実験と理論的形態空間解析の結果は、胚の成長および皮膚層の材料特性の多様性が、ワニ類の各種に見られる頭部の鱗の多様なパターンを生じる単純な進化的メカニズムをもたらすことを示している。

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