ヒト神経科学:研究設計の特性は脳規模関連研究における再現性を高める
Nature 636, 8043 doi: 10.1038/s41586-024-08260-9
脳規模関連研究(BWAS)は、脳と行動の関連を発見するための基本ツールの1つである。最近のいくつかの研究で、BWASで十分な再現性を得るには、数千人規模の研究参加者が必要であることが明らかにされている。今回我々は、Lifespan Brain Chart Consortiumの63の縦断MRI研究および横断MRI研究(総スキャン数7万7695枚)を用いてロバストな効果量指標の解析とメタ解析を行い、BWASにおける標準化効果量の増加と再現性の向上には研究設計の最適化が重要であることを実証する。年齢と脳体積の関連についてのメタ解析では、共変量の変動が大きいBWASと縦断研究の方が、報告された標準化効果量が大きいことが分かった。英国バイオバンクとアルツハイマー病神経画像化イニシアチブによる脳全体と脳領域の測定値に対する加齢の影響を解析したところ、試料採取計画による研究設計の修正は、標準化効果量と再現性を改善することが明らかになった。この結果が一般化可能であることを確認するために、我々はさらに、ABCD(Adolescent Brain and Cognitive Development)データセットにおける脳の構造的および機能的な評価項目測定値との認知機能や精神病理、人口統計学的な関連に対する縦断的な試料採取計画の評価を行った。被験者間と被験者内の変化が等しいとする一般的に用いられる縦断モデルは、直感に反して標準化効果量と再現性を低下させ得ることが実証された。被験者間の効果と被験者内の効果を明示的にモデル化することで、それらの混同を避け、それぞれについて標準化効果量を個別に最適化できるようになる。まとめると、これらの結果は、BWASの再現性を改善する研究設計の指針となる。

