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熱物理学:流体力学的フォノン輸送によって駆動されるグラファイト熱テスラバルブ
Nature 634, 8036 doi: 10.1038/s41586-024-08052-1
テスラバルブは、マイクロ流体システムにおける流体の整流に効果的な仕組みであり、液体の流れを制御する整流機構として注目され、現代の固体電子整流器や熱整流器の設計にも応用されるようになっている。しかし、マイクロ流体チャネルでの流体整流と比べると、マイクロ固体チャネルにおける熱フォノンの整流は、より複雑な様相を呈する。これは、フォノン間で運動量を保存する衝突が起きにくく、液体のようなフォノンの流れが生じにくいことが原因である。最近、グラファイト材料におけるフォノンの流体力学的な振る舞いに関する研究成果により、熱整流の実現への新たな可能性が見いだされた。今回我々は、同位体を取り除いたグラファイト結晶において、フォノンの流体力学的性質を活用して熱整流を実現する手法を実証する。具体的には、厚さ90 nmのグラファイト中にマイクロメートルサイズのテスラバルブを設計・作製し、45 Kの環境下で、熱の流れる向きによって熱伝導率が15.2%異なることを実験的に確認した。今回の研究成果は、マイクロスケールやナノスケールの電子デバイスにおける熱管理に、フォノンの集団的な振る舞いを活用できる可能性を示す重要な一歩であり、固体における熱整流に道を開くものである。

